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第5回訪問看護雑学講座

皆さんこんにちは!
合同会社徳吉、更新担当の中西です。

 

訪問看護は、病院や診療所ではなく、自宅で医療サービスを受けることができる仕組みです。高齢化社会が進む現代において、その重要性はますます高まっています。しかし、訪問看護の歴史を振り返ると、その起源は意外にも古く、時代の流れとともに形を変えながら進化してきたことがわかります。


1. 訪問看護の起源:宗教・慈善活動から始まった在宅医療

① 中世ヨーロッパの修道院と看護の発展(11~16世紀)

訪問看護の起源は、病院が存在しなかった時代に遡ります。中世ヨーロッパでは、修道院が医療活動を担い、病人や貧しい人々の家を訪れて治療を行う「慈善看護」の形が確立していました。

  • 12世紀:カトリック教会の修道女たちが病人の家を訪れ、ケアを行う。
  • 16世紀:宗教改革の影響で修道院が衰退し、医療と福祉が民間へ移行。

この時代の看護は「医療」よりも「宗教的な慈善活動」としての側面が強く、現代の訪問看護とは異なる形でした。


2. 近代訪問看護の誕生:ナイチンゲールと公衆衛生の改革(19世紀)

① フローレンス・ナイチンゲールと近代看護の確立

訪問看護が「専門職」としての形を持ち始めたのは、19世紀のナイチンゲールによる看護改革がきっかけでした。

  • 1854年:クリミア戦争に従軍し、ナイチンゲールが戦傷兵の看護を実施。
  • 1860年:ナイチンゲール看護学校を設立し、看護師の教育を体系化。
  • 病院だけでなく、家庭でも看護を受けられる仕組み(訪問看護の基盤)を提唱。

ナイチンゲールは、「医療は病院の中だけで行うものではない」と考え、患者の生活環境を整えることが健康回復につながるという概念を広めました。これは、現代の訪問看護の理念にもつながっています。

② 訪問看護師の誕生と社会福祉の発展

19世紀後半、イギリスやアメリカでは、貧困層向けに看護師が家庭を訪問する制度が整備され始めました。

  • 1875年:イギリスで「地区看護制度(District Nursing)」が確立し、看護師が地域を巡回。
  • 1893年:アメリカで「ヘンリー・ストリート訪問看護サービス」(リリアン・ウォルドにより創設)が始まる。

この頃の訪問看護は、医療だけでなく「公衆衛生の改善」や「貧困層支援」といった福祉的な役割も担っていました。


3. 20世紀の訪問看護:医療制度への組み込みと高齢者ケアの発展

① 第二次世界大戦後の訪問看護の拡大(1940~1960年代)

戦後、医療技術の発展とともに、訪問看護は公的医療制度の一部として組み込まれるようになりました。

  • 1945年:アメリカで「メディケア(高齢者医療保険)」制度が導入され、訪問看護が公的保険の対象に。
  • 1950年代:イギリスのNHS(国民保健サービス)で訪問看護制度が確立。
  • 1960年代:ヨーロッパ各国で在宅医療・訪問看護が普及。

この時期、訪問看護は単なる「福祉」ではなく、医療の一環として認識されるようになり、保険制度の中に組み込まれることで広く普及していきました。

② 日本における訪問看護の始まり(1960~1980年代)

日本では、戦後の高度経済成長とともに病院中心の医療体制が進み、訪問看護はほとんど普及しませんでした。しかし、1980年代になると高齢化の進行により、「病院完結型の医療」から「在宅医療」へのシフトが求められるようになりました。

  • 1980年:日本で「在宅ケア」の概念が広まり、訪問看護の試験的導入が始まる。
  • 1992年:訪問看護ステーション制度が設立され、全国的に普及へ。

4. 現代の訪問看護とその役割(2000年~現在)

① 日本の高齢化と訪問看護の必要性

  • 2025年には日本の高齢者人口が3,600万人を超え、国民の約30%が65歳以上に
  • 病院での長期入院が難しくなり、在宅医療のニーズが急増
  • 国の医療費削減政策により、「病院から在宅へ」の流れが加速

現在の訪問看護は、高齢者だけでなく、がん患者や難病患者、小児医療、精神疾患のケアなど、幅広い領域で活用されています。

② 訪問看護の最新トレンド

近年、訪問看護はさらに多様化・専門化しつつあります。

  • ICT(情報通信技術)の活用

    • オンライン診療と連携し、リモートで患者の状態を共有。
    • 電子カルテやAIを活用した訪問記録の効率化。
  • 緩和ケア・ターミナルケアの充実

    • 在宅での看取りを希望する患者の増加に伴い、訪問看護の役割が拡大。
    • 医師・介護職との連携が強化され、チーム医療としての訪問看護が重視される。
  • 若年層・障がい者への対応強化

    • 小児在宅医療の充実や、精神疾患患者への訪問看護の拡大。

5. まとめ:訪問看護はこれからの医療の中心になる

訪問看護は、修道院の慈善活動から始まり、ナイチンゲールの看護改革を経て、現代の医療制度の中で重要な役割を担うようになりました。特に日本では、高齢化や医療費問題の影響で、今後ますます需要が高まる分野です。

今後は、ICT技術の活用や、多職種連携の強化によって、より効率的で質の高い訪問看護が求められるでしょう。訪問看護は、ただの医療サービスではなく、「患者と家族の生活を支えるライフケア」としての役割を果たし続けるのです。

 

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